夫婦関係における心の自立とは|相手に何も求めないことではない #473

夫婦関係の中で考える「心の自立」

先日のブログで、

心の自立とは、
誰にも頼らず、一人で生きられるようになることではない。

誰かに支えてもらった記憶や、
離れていても心に残るつながりが、
少しずつ自分の中の支えになっていくことではないか。

そのようなことを書きました。
カテゴリー「心が少し楽になる話」
「心の自立とは、誰にも頼らないことではない #472」

今回は、夫婦関係の中での「心の自立」について考えてみたいと思います。

相手を必要としなくなることが、自立ではない

夫婦関係の中で心の自立を考える時、

「相手には何も期待しない」
「何も求めず、自分のことはすべて自分でする」
「寂しくても、つらくても、一人で耐える」

ということを思い浮かべる人もいるかもしれません。

以前、カフェでお茶をしていた時、すぐ隣に座っていたおばさまたちの会話が、
自然と耳に入ってきたことがあります。

「相手に、もう何も期待せんことやで。期待したら腹が立つだけやねん」
「ほんまやな。ただの同居人や!」🤣🤣🤣と笑い飛ばしておられました。

そんなふうに話しておられました(笑)。

長い夫婦生活の中で、期待するたびに傷つき、諦めることで
自分の心を守ってこられたのかもしれません。

もちろん、それで気持ちが収まり、穏やかに暮らせているのであれば、
それも一つの選択だと思います。

けれど、それを心の自立と呼ぶのかというと、
私は少し違うように思うのです。

・寂しい時には、寂しいと伝えていい。
・助けてほしい時には、助けてほしいと伝えていい。
・夫婦として話をしたい。
・大切に扱ってほしい。
・困った時には支え合いたい。

そう願うことは、心が自立していないということではありません。

まず大切なのは、自分自身が、

「私は今、寂しいんだ」
「本当は助けてほしいんだ」
「何気ない会話がしたいんだ」
「大切にされたいんだ」

という気持ちを、分かってあげることなのだと思います。

「いい年をして、寂しいだなんて恥ずかしい」
「助けてほしいなんて言ってはいけない」

と、自分の気持ちまで否定する必要はありません。

そして、

「いつから私は、この気持ちを言えなくなったのだろう」
「いつから二人の間で、何気ない会話ができなくなったのだろう」

と振り返ってみることも、
夫婦関係を見つめ直す一つのきっかけになるかもしれません。

幼い頃から、

「人様に迷惑をかけてはいけません」

と繰り返し教えられてきた人は、誰かに

「助けてください」

と言うことに、強い抵抗や罪悪感を抱くこともあります。

この言葉は、子どもが周囲の人から嫌われたり、
人間関係で困ったりしないようにという、
親なりの願いから伝えられたものかもしれません。

けれど時には、

「困っても、人を頼ってはいけない」
「自分のことは、自分だけで何とかしなければならない」

という意味として、心の中に残ってしまうことがあります。

人に助けを求めることと、
自分の人生のすべてを相手に預けることは同じではありません。

人は、誰かとの関わりの中で支えられ、安心しながら生きています。

相手を必要とすることと、
自分の人生のすべてを相手に預けることは、違うのです。

必要な願いを伝えることは、理想の押しつけではない

・育児を一緒に担ってほしい。
・暴言をやめてほしい。
・話し合いに応じてほしい。
・夫婦として大切に扱ってほしい。

こうした願いは、
理想のパートナー像を一方的に押しつけているのではありません。

夫婦として共同生活を続けるために必要な話し合いであり、
自分や子どもの安全、
そして一人の人間としての尊厳を守るために必要な要求です。

もちろん、こちらが願いを伝えたからといって、
相手が必ず応じてくれるとは限りません。

それでも、自分が何を嫌だと感じ、何を望んでいるのかを知り、
伝えられる状況であれば言葉にしていくことは、
自分の気持ちを大切に扱うことにつながります。

心の自立とは、
何をされても我慢することでも、
相手に何も求めなくなることでもありません。

・自分が嫌だと感じたことを、嫌だと認める。
・傷ついたことを、傷ついたと知る。
そして、
・伝えられる状況であれば、相手に伝える。

傷つきを伝えるためには、
まず自分自身が傷ついていることに気づく必要があります。

今起きた出来事そのものに傷ついた場合もあれば、
過去の古い傷に触れたことで、
心が大きく反応している場合もあるでしょう。

だからといって、今感じている傷つきを無視してよいわけではありません。

「私は今、何に傷ついたのだろう」

と、自分の心を確かめていくことが大切なのだと思います。

そして、

・自分に気持ちや願いがあるように、相手にも気持ちや願いがあります。
・自分の気持ちを伝えながら、相手の気持ちにも耳を傾けようとすること。
ただし、
・知ろうとすることと、
相手の心を無理にこじ開け、言葉を引き出そうとすることは、

違います。

自分の気持ちでさえ、すぐには分からないことがあります。
相手にも、

うまく言葉にできない時や、今はまだ話せない時があるかもしれません。

私たちは、相手の気持ちをすべて知ることはできません。

相手が話してくれないからといって、
「私は知ろうとしているのに、言わないあなたが悪い」

と決めつけてしまえば、それもまた
・相手の気持ちを置き去りにすることになります。
・自分の願いを伝えながらも、相手には相手の意思や境界線があることを知っておく。
・互いに違う人間であることを前提に、これからの関係に何が必要なのかを考えていく。

それも、夫婦関係における心の自立の一つなのだと思います。

心の自立は、相手に何も求めないことではない

心の自立とは、誰にも頼らず生きることではありません。

パートナーを必要としなくなることでも、何も期待しなくなることでもありません。

・寂しい時には、寂しいと感じている自分を分かってあげる。
・助けてほしい時には、助けてほしいと伝える。
・自分が嫌だと感じたことを、嫌だと認める。
そして、
・自分に願いや意思があるように、相手にも願いや意思があることを知っておく。
・自分の願いを伝えることができたとしても、
その願いに相手がどのように応えるのかまで、こちらが決めることはできません。

また、夫婦だからといって、すぐに落ち着いて話し合えるとは限りません。

・安心して自分の気持ちを話せること。
・相手の言葉を聞いた時、すぐに否定された、責められたと感じずにいられること。
・意見が違っても、関係そのものが壊れるわけではないと思えること。

そうした土台があって、初めて話し合いができるようになるのだと思います。

夫婦関係のカウンセリングでは、話し合いの結論を急ぐ前に、

・二人の間で何が起きているのか。
・それぞれが何を守ろうとしているのか。

まずは、そこを知っていくことを大切にしています。

心の自立とは、
自分の気持ちを押し殺すことでも、相手への願いを諦めることでもありません。

自分の願いを大切にしながらも、
自分の存在価値や人生の意味まで、相手の反応だけに預けないこと。

相手に支えてもらうこともある。
自分が相手を支えることもある。

けれど、
どちらか一方が、もう一方の人生をすべて背負うことはできません。

自分の気持ちを知り、自分の願いを伝えながら、
相手にも自分とは違う気持ちや選択があることを知っていく。

それが、夫婦関係における心の自立なのではないかと思います。

分かっていても、できないことがあります

ここまで読んで、

「言っていることは分かる」
「そうできたらいいと思う」

と感じた方もおられるかもしれません。

けれど、頭ではよく分かったはずなのに、パートナーを目の前にすると、
それまでの知識がすべて飛んでしまったようになり、
いつもと同じ反応をしてしまうことがあります。

私自身にも、似たような経験を何度したことかっっw

話を聞いた直後は、

「そういうことだったのか」
「今度こそ、やってみよう」

と思うのです。

ところが家に帰り、玄関に一歩入った途端、何も変わらない自分がそこにいる。

そして、

「またやってもうたわ。。。」
「私は何をやってんのやろ。」

と、情けなくなり、自分を責めていました。

けれど、
頭で理解することと、実際の夫婦関係の中でそれを行動に移せることは、

同じではありません。

長い時間をかけて身についた反応や、自分を守るために続けてきた行動が、
知識を得たからといって、すぐに変わるとは限らないのです。

できなかったからといって、学んだことが無駄になったわけではありません。

その時にはできなくても、

「今、私はいつもの反応をしているのかもしれない」
「本当は自分が思っていた以上に傷ついていたのかもしれない」

と、あとから気づけるようになることもあります。

その小さな気づきも、変化の途中にある大切なプロセスです。

また、本やブログを読みながら、一人で何とかしようと頑張っても、
限界を感じることがあります。

一人で考えていると、同じところを何度も行き来したり、
自分を責める方向へ戻ってしまったりすることもあるでしょう。

そんな時は、誰かの力を借りてもいいのです。

一人でできないことは、弱さではありません。

誰かと一緒に、自分の中で何が起きているのかを確かめながら、
少しずつ自分の気持ちを知っていく。

それもまた、誰にも頼らず頑張ることとは違う、心の自立への道なのだと思います。

次回へ

自分が何を感じ、何を望んでいるのか、まだ分からないこともあります。
分かっていても、相手に伝えられないこともあります。
そして、

「どうして私から動かなければならないの」
「ここまで我慢してきたのだから、今度は相手が変わる番でしょう」
「私から歩み寄ったら、また私が折れたことになる」

と思うほど、怒りや疲れが積み重なっていることもあるでしょう。

これまで長い間、自分を抑え、周囲に合わせてきた人ほど、

「もう私には何もさせないで。相手が変わってくれればいい」

と願うのは、無理もないことだと思います。

けれど、自分が幸せになれるかどうかが、相手の変化だけにかかっているとしたら、
私たちはこれから何を見つめていけばよいのでしょう。

次回は、

「相手が変わらなければ、私は幸せになれない」と思う時

について、続きを書いていきます。


執筆:奈良県生駒市の心理カウンセラー 藤田侑杏恵
stand.fm配信 #473


夫婦関係の中で、
「相手には、もう何も期待しない」
「自分のことは、自分で何とかする」

と、寂しさや傷つきを一人で抱えてしまうことがあります。

けれど、支えてほしいと願うことや、
夫婦として話をしたい、大切に扱ってほしいと思うことは、
心が自立していないということではありません。

カウンセリングでは、どちらが正しいのかを決めるのではなく、

この関係の中で何が起きているのか。
それぞれが何を守ろうとしているのか。

ということを大切にしながら、
今のご自身の気持ちを一緒に整理していきます。

奈良県生駒市のカウンセリングルーム「温もりを求めて」では、
夫婦関係・親子関係・人間関係・機能不全家族・アダルトチルドレン・トラウマ
などのご相談をお受けしています。

夫婦関係のカウンセリングについては、こちらにまとめています。
夫婦関係のカウンセリングはこちら

ご相談をご希望の方は、お問い合わせページより空き状況をご確認ください。
お問い合わせはこちら

プロフィールについては、こちらにまとめています。
プロフィールはこちら

著作権について

本記事に掲載している文章等の著作権は、藤田侑杏恵に帰属します。
法令上認められる引用の範囲を除き、無断転載・複製・改変はご遠慮ください。
引用の際は、引用部分を明確に区別したうえで、記事名・サイト名・URLを明記してください。
なお、引用される際は、当方までお知らせいただけますと幸いです。

本日の音声配信 stand.fm

カウンセリングにクライエントさんが来られる時の目的は
それぞれだけど
カウンセラーは常にクライエントさんの「今」に注目し
心と思考の一致を大事にしております。

参考になれば幸いです。

※音声配信は脱線しながらブログを読み上げて語っておりますが
ブログ記事は後日加筆修正されることがあります。


コメント